これまでのコラムでは、スポーツまちづくりの基本的な考え方や、全国で注目されている背景、そして実際に取り組んでいる自治体の例を見てきました。
では、なぜある地域ではスポーツまちづくりがうまくいっているのか?
その理由には、地域の状況や資源の違いを超えて共通する考え方や工夫が見えています。
今回は、先進自治体に共通するポイントを整理しながら、成功の背景を読み解きます。
① 地域特性や資源を「戦略として活かす」
うまく進んでいる地域は、自らの地域が持つ特色をスポーツまちづくりの“戦略的資源”として捉えています。
例えばスポーツ庁の「スポーツ・健康まちづくり」優良自治体表彰に選ばれている地域を見ると、
・既存のスポーツ資源
・歴史的なスポーツ文化
・地元で人気のある活動
といった地域独自の特徴を計画に組み込んでいます。これにより、「外から来た人にも伝わる魅力」が形成されやすくなっています。
つまり単に施策を実施するのではなく、地域の強みを活かす視点があることが成功の大きな要因です。




画像引用:矢吹町HPhttps://www.town.yabuki.fukushima.jp/data/map/1476927827_16.jpg
② 多様な主体を巻き込む協働の体制
スポーツまちづくりは、単独の施策で完結するものではありません。
多くの成功例では、行政・地域団体・スポーツ団体・民間企業・住民が協力する体制づくりが進んでいます。
たとえば、「スポーツ・健康まちづくり」の表彰を受けている自治体の中には、地域スポーツコミッションやスポーツ推進団体が中心となり、地域内外のネットワークを形成した例があります。これにより、情報共有や協働がスムーズになり、長期的な計画の実行力が高まっています。
成功している地域では、役割分担と連携の仕組みが明確に設計され、その上で共通の目標に向けて動ける態勢が整っています。
③ 住民参加を生み出す仕組みづくり
スポーツまちづくりの要は、「住民が自分ごととして関わること」です。
成功している地域の取り組みには、住民が主体的に参加したり、日常的に関与できる仕組みが多く設けられています。
具体的には、
・地元のスポーツイベントや交流会の継続開催
・子どもから高齢者まで対象にしたプログラムの設定
・地元企業や団体と連携した参加型アクティビティ
などです。
このような参加機会があることで、住民同士の関係性が強まり、スポーツが暮らしの一部として根付きやすくなります。
地域の日常生活とスポーツ活動が自然に結びついていることが、成功の鍵の一つです。
(参考:笹川スポーツ財団のまちづくり事例)笹川スポーツ財団
④ 成果の“見える化”と継続的改善
スポーツまちづくりは、すぐに成果が出る取り組みではありません。
成功例では、成果を測り、それを地域内外に情報発信する仕組みが整っています。
スポーツ庁が2026年度末までにスポーツ・健康まちづくりへ取り組む自治体の割合を40%とする目標を掲げるなど、政府側でも計画の進捗やインパクトを丁寧に把握しようとしています。
評価や成果指標を設定し、定量・定性両面で取り組みを見える化することで、地域の共感や理解が深まり、計画の継続的な改善につながっています。

■ 成功要因から学ぶこと
以上の4つの要因は、それぞれの地域の状況によって中身は異なりますが、共通する考え方として次のポイントに集約できます:
1.地域の資源を戦略として捉える
2.多様な主体を巻き込む体制をつくる
3.住民が参加したくなる仕組みを設計する
4.成果を見える化し、改善につなげる
これらは単発の施策ではなく、地域をつなぎ、育てるための長期的な視点を持つことによって成立しているように見えます。
■ 引用・参考
・スポーツ庁「スポーツ・健康まちづくり」成果事例の整理(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/sports/content/20250529-spt_stiiki-000040208_1.pdf
・スポーツ・健康を通じた先進自治体のまちづくり事例(笹川スポーツ財団)
https://www.ssf.or.jp/dotank/local/
・スポーツ・健康まちづくり優良自治体表彰(スポまち!表彰)(PRTIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000075.000047306.html