これまでのコラムでは、
・「スポーツまちづくり」の意味(第1回)
・なぜ注目されているのか(第2回)
・日常生活とのつながり(第3回)
を段階的に解説してきました。
今回はそれらを踏まえ、スポーツまちづくりが町にもたらす価値を「健康・交流・地域価値・経済性」という4つの視点で整理していきます。
■ ① 健康の基盤づくり
スポーツまちづくりは、住民が気軽に体を動かせる環境をつくることを重視します。
スポーツ庁が進める「スポーツ・健康まちづくり」では、日常的な身体活動を促し住民の健康増進につなげることが掲げられています。これは、健康づくりが長期的に医療費や介護負担の抑制に寄与する可能性を示す取り組みでもあります。
体を動かしやすい環境が地域に根付くと、健康意識の向上や生活習慣病のリスク低減といった効果につながることが期待されます。
■ ② 住民同士の交流と関係づくり
スポーツによる共通体験は、住民同士の関係性を豊かにします。
スポーツコミッションや地域スポーツ団体が取り組むスポーツ活動は、年齢や背景を問わず人々が集まる機会をつくります。
こうした日常的な関わりは、地域コミュニティの強化や孤立感の解消につながると考えられており、様々な主体の連携が進められています。

■ ③ 町の価値向上と地域魅力の創出
スポーツを基盤とした取り組みは、地域ブランドや魅力を高める可能性もあります。
スポーツまちづくりを進める自治体では、その活動を通じて町の個性や魅力が外に伝わる機会が増えています。スポーツによる活動が地域の価値として発信されると、地域への理解や愛着が外部にも広がり、「関係人口」の拡大やファンの形成に寄与します。これは、地域が持つ独自性を高める上でも重要な視点です。
■ ④ 経済性――交流人口増加がもたらす地域経済への影響
スポーツまちづくりが生み出す価値の中で、経済性も注目される点です。とくに、スポーツコミッションと呼ばれる組織は、大規模なスポーツ大会やスポーツ合宿の誘致、交流人口の拡大を通じて地域の消費を促し、地域経済の活性化につなげることを目的に活動しています。
スポーツコミッションの活動は、単に人を集めるだけではなく、それが地域の産業や観光、消費につながる仕組みを意図しています。交流人口が増えることで、
・宿泊・飲食・交通などの消費が増加
・地元商店やサービス産業の売上が向上
・スポーツイベントを目当てにしたリピーターの誘致
といった効果が期待されます。
これは世界的にも確認されています。例えば、米国シャーロットではスポーツイベントが地域にもたらした経済効果が数千万ドル規模にのぼったという報告があり、参加者の宿泊や飲食などが地域経済に大きく寄与したとされています。
また、スポーツや観光を組み合わせた「スポーツツーリズム」は、多様な業種への波及効果が見込まれており、地域の活性化戦略として注目されています。
このように、スポーツまちづくりは交流人口の増加と地域経済の活性化に結びつく可能性も持っているのです。
■ まとめ(今日のポイント)
スポーツまちづくりがもたらす価値は、次の4つに整理できます。
1.健康基盤の強化
2.住民同士の交流機会の創出
3.地域の魅力・価値の向上
4.交流人口増加による経済的な波及効果
スポーツは、単に体を動かすだけの活動ではありません。
日常生活の中で誰もが関われる仕組みとして、健康・つながり・地域経済の価値を同時に育むツールとして位置づけられているのです。
矢吹町でも、こうした価値を大切にしながら、地域の暮らしと未来につなげていきたいものです。
■ 引用・参考
・日本スポーツコミッションによるスポーツコミッションの定義
https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202306/202306j.html
・スポーツコミッションとは(熊谷市例)
https://www.city.kumagaya.lg.jp/kumagaya-sc/about/index.html
・スポーツ庁「スポーツ・健康まちづくり」推進関連
https://www.mext.go.jp/sports/content/20230904-spt_stiiki-300000925-1.pdf
・Sports economic impact example (Charlotte)
https://www.axios.com/local/charlotte/2025/04/10/charlotte-sports-foundation-2024-economic-impact